中心性網脈絡膜症
中心性網脈絡膜症は、以前、中心性網膜炎といわれた病気であり、これは黄斑部が腫れてむくむ病気です。
黄斑部とは眼底中央部に位置し、視力と色覚を受け持つ最も大切なところ(つまり、物を見る中心部)なので、ここでの疾患は直ちに視力低下と色覚障害を起こしやすい場所でもあります。
この病気は、働きざかりの中年の男性に多い病気ですが、もちろん、女性にもあります。
普通は片目に起こりやすいのですが、時に両眼に起きることもあります。
過労が誘因とされ、原因は、肉体的、あるいは精神的なストレス、または循環障害を起こす全身病(高血圧、腎臓病、妊娠など)といわれていますが、いまひとつはっきりしません。
● 症状は?
この病気はある日突然に、見ようとする場所の中心部がぼやけるようになり、周辺はよく見えるのに、見ようとする場所に丸く影がついて見え(中心暗点)、左右の眼のバランスが変だと訴える人もいます。
ものが小さく見えたり(小視症)、直線が波うったり、歪んで見えたり、時に色がかわったりします(変視症)。
極端な視力低下はなく、少し落ちる程度にとどまり、眼自体の痛みや充血はありません。
眼底を見ると、脈絡膜のほうから黄斑の下に液が漏れてきて丸い小さな網膜剥離が起きるために、中心部が腫れているのがはっきりわかります。
● 治療、経過は?
自然に治る傾向もある病気ですが、今のところ特効薬はありません。
網膜に栄養を与える薬や、血管を広げる薬などを使いながら、なるべく休養をとるようにしていると、平均4〜5ヶ月で腫れはひき、暗点も消えます。
しかし、この病気は再発することも多く、数年にわたり治療をしなければならないことや、視力が落ちたままになることもあります。
蛍光眼底造影をして液の漏れる場所が確かめられ、その場所が中心からある程度離れていれば、その漏れる場所にレーザー光線で光疑固を行うと早く治ります。
しかし、漏れる場所が中心に近い場合、光疑固は行いません。
以上から、いずれの治療にせよ気分をゆったりさせ、あせらずにじっくり治療することが基本となります |