麦粒腫・霰粒腫(ものもらい)
眼瞼(まぶた)の病気でよくみられるものに、霰粒腫と麦粒腫があります。俗にいう「ものもらい」とは、麦粒腫をいいますが、霰粒腫が化膿したものも含めて言われているようです。
● 麦粒腫
麦粒腫は、眼瞼の中にある脂肪を分泌する線に細菌が繁殖して起こる炎症で、一種のおできです。初めは眼瞼の一部分がかゆかったりするだけですが、しだいに赤くなり、はれてきて、痛みも出てきます。このはれは遂には眼瞼全体におよんで、痛みも激しくなります。少しするとはれている部分の中央が黄色く、つまり化膿してきます。そして発病後4〜7日で、自然にうみが皮膚の方から出て、治癒します。
放置しておいてもこのような経過で治癒しますが、初期に抗生物質を内服すると、化膿しないで吸収されることもあります。うみがたまって痛みが強い時には切開するとよいのです。時期により治療が変わりますし放置しておくと痛いので、眼がはれ、赤くなったらなるべく早く眼科医を受診してください。
● 霰粒腫
霰粒腫は瞼板腺という腺がつまったために分泌物が貯留してできます。眼瞼の中に球状のしこりを触れます。麦粒腫と違うところは、はじめから痛みもしないし、赤くもならないことです。長い経過をたどり、ふつう数ヶ月の間で徐々に大きくなり、遂には皮膚が眼瞼の裏側に破れて、内容が出てしまいます。また、自然に吸収されて消失してしまうこともあります。時に麦粒腫のように、眼瞼全体がはれることがありますが、痛みがほとんどないし、しこりを触れるのですぐ鑑別できます。
治療も麦粒腫と違います。まだ小さい時にはそののままにして様子を見ていていいのですが、大きくなってきたら眼瞼の裏から切開して、内容物をすべてかき出します。さらに、術後も、点眼などで、治療していきます。
また急にはれてきて、痛みが強い場合には、抗生剤の内服や点眼などを行うこともあります。さらに小さいものを吸収させるために、ステロイドを霰粒腫に直接注射することもあります。
● 患者さんが注意する点
抵抗力が弱った時に、細菌が入ると化膿しますので、体調を整えて抵抗力を強めるようにしましょう。また、汚い手で眼をこすったりしないようにしましょう。切開した場合は、一日眼帯になります。切開した日は、アルコール・運動を控えるようにしましょう。もし帰宅後、ガーゼから出血するようであれば、眼帯のうえから強めに圧迫すれば、たいていは止血されます。少しぐらい血が出ても心配ありません。また、翌日にもはれが残っていたり、注射のために皮下出血して眼瞼が赤くても心配ありません。次第になおります。小さいお子さんの場合、じっとしていないので、診察に連れて行くのも大変だし、手術になるとなおさらのことです。従ってどうしても手遅れになりがちです。皮膚の方に霰粒腫が破れると、いつまでも治らずに、治ったとしても傷あとが残ります。目の周りは目立つ所です。そこで一定の時期に少し泣いてもおさえつけて、眼瞼の裏から切開し、内容を徹底的にかき出すことが必要です。
|